期待薄の自民党総裁選

自民党総裁選挙が告示された。

 

4名の候補のホームページで政策をみたが、選挙のマニフェストとは違って、あまり具体的なことは書いていない。

ただ、社会保障についてしっかりとした問題意識をもっている候補は野田さんくらいしかいないようだ。

残念ながら、その野田さんも出ることに意義があるという状況のようで、政策も網羅的なものではなく、ほかの候補が無視している、弱者対策に焦点をしぼったものになっている。

 

いずれもホームページには具体的なことは書いていないが、討論会ではコロナ対応で低所得者への10万円の給付について野田、岸田、高市さんは賛同していたようだ。

定額給付金といえば安倍総理による昨年4月の給付決定だ。あの政策の是非はさまざまあろうが、国民の協力意識が大きく高まったことは間違いないだろう。私としては総理にしかできない素晴らしい判断だったと思う。

菅総理は給付金にかなり後ろ向きだったとみられ、検討をした形跡すらみられない。

緊急事態宣言の地域にはお願いだけではなく、補償的な性格としての給付金を配っていれば、東京などの感染状況はどうなっていただろうか。歴史にifはないが、非常に気になるところだ。

定額給付については、野党も主張していて、対象や金額もさらに大きい。

正直10万円の根拠がよくわからないし、一律ということきめの細かい行政をしようという意気込みのなさの裏返しでもある。

生活困窮者には生活保護という制度もある中で、給付金の性格や役割をどう位置付けるようとしてるのか、それが全く伝わってこない。それは野党も同じであるが。

多くの国民にとって関心が高い重要なテーマであってもこの調子である。政治家の考えの浅さが浮き彫りになっているようで、非常に残念である。

 

一律の定額給付金は一律の行動制限を要請する際の迷惑料として位置付けるのが一番しっくりとくる。行動制限はあくまでも要請なので、制限している人もいればまったく気にしない人もいる。そのような人に対しても同様に給付金を配ることをどう考えるか。昨年の4月であれば危機感が高かったので、要請にもほとんどの人がしたがったが今はそのような状況ではない。迷惑料的な性格の定額給付金であれば、要請ではなく一定の強制力をもった行動制限規制ができる法律をつくった上で実施すべきであろう。

 

低所得者に限って給付するという考えは迷惑料的な性格としては位置付けていないということだと思う。定額給付金をコロナで困っている人を助けるという位置づけで捉えているのだと思う。

コロナで困っているかどうかを判断することは難しいから、一律低所得者に給付をするという考えは一理あるだろう。

しかし、困っている人を助けるという位置付けであれば、10万円程度の給付で助けることにつながるとはとても思えないのだ。

総裁選候補たちは10万円程度のお金で貧困を解決できるとでも思っているのだろうか。