自公政権のコロナ禍での経済支援策を振り返る その1

コロナ禍での経済的な痛みは個人差が大きい。

コロナで仕事が増えて経済的に潤っている人もいる一方で、旅行業界で働いている人のように壊滅的な打撃を受けている人もいる。

そうした困っている人をしっかりと捕捉して助けること、それこそが政治に求められていたことだろう。

 

しかし、実際にそうした役割を政治が十分に果たせていただろうか。

そうしたことについての自省もなく、低所得者への10万円給付などというよくわからないことをいうだけの総裁選候補たちには辟易する。

 

政府が何もしていないわけではない。

いくつかの支援策が存在しているが、重要なのはそれがどれだけ効果的であったかということである。

一体どれだけの人にいくらの金額が支払われていたのか、そうした基本的な情報もまったくわからない状況だ。

医療危機の話はよく聞くが、支援策が不十分であれば拡充する。非効率なところがあれば改善するといった話をついぞ聞くことはなかった。

 

自公政権の経済支援策について、振り返ってみたい。

1.個人向けの支援策(生活困窮者自立支援金、住居確保給付金、資金貸付)

2.事業者向けの支援策(持続化給付金、家賃支援給付金、雇用調整助成金の拡充)

3.休業や時短をしている飲食店等に対する協力金等の支払い

4.GoToトラベル

 

ここにいくつかの支援策をあげたが、個人向けと事業者(個人事業主含む)向けで分かれている。

 

個人向けの支援策はいくつかあるが、要件も厳しそうだし、給付期間が3か月までとなっていたり、支給ではなく貸し付けであったりと困窮者を十分に支援するには少なすぎるだろう。事業者向けの支援策に比べても見劣りしていて、個人を大切にしていない印象がある。

 

事業者向けの支援もいくつもあるが、まずは業種をとわずない支援策から。

個人向けの支援策よりは充実しているように見える。

持続化給付金、家賃支援給付金は個人事業主にとってはそれなりの金額にはなるかもしれない。ただし、給付期間には上限がある。また、従業員が多くいる企業にとっては焼け石に水だろう。

 

雇用調整助成金は、仕事がなくなった従業員の雇用を維持して給料を払う場合の費用を雇用保険で支払う制度だ。この制度は金額的には兆単位でつかわれているようだ。

この制度で助けられている人が多くいることは事実であろう。しかし、雇用保険に入っていない個人は恩恵を受けられない。対象外の個人との不均衡への配慮が欠けている。

雇用保険なので従来なら支給期間に上限があるのだが、コロナ対策の特例としてその上限を延長しているようだ。

延長にはいくつかの懸念もある。何もしなくても給料がもらえるという一種のモラルハザードの状態が長く続くこと。助成金の原資は労働者の支払う雇用保険料なので、雇用保険料の引き上げを通じて労働者にしわ寄せがいくことになる。この制度があることで、悪く言えば飼い殺しの人が出てくるし、人手が足りていない業界への移動が妨げられるというデメリットもある。

こうした課題があることを考えると、雇用調整助成金の特例をだらだらと続けるのではなく、雇用保険とは切り分けた、雇用保険加入者以外も含めた支援策への切り替えが必要であろう。残念ながら現政権ではそうした対策が考えられた形跡もない。

 

長くなるので

3.4.については次の記事で書くことにする。